■漆人・瀬尾
新 プロフィール
1947年生まれ。富山市在住。 1968年父・瀬尾孝正に師事「漆彫」の道に入る。父没後、衣鉢を授かり二代目を継ぐ。
1968年初個展(富山県民会館)以降、県内や岐阜、大阪などで展覧会を開催している。
■うるしについて■
[うるし]は漆科漆属植物から採取された天然塗料であることはすでにご承知だと思います。日本を含む東アジアだけの産物です。
[うるしの木]を苗木から10年間育てると一升瓶ほどの太さになりようやく成熟した[うるし]が採れます。葉の繁っている6月〜10月までの半年間、木の活動期によく樹液を分泌するからです。
[うるしの木]の幹に溝状のキズをつけその溝に浸出した樹液をすくい取ります。キズの深さは樹皮と形成層の境界、1本の溝から採れる[うるし]はコーヒースプーン1杯ほど、流れるほどでるものではありません。4〜5日間隔で採取するのが効率がよいとされ漆掻職人さんは1人400本を担当、4等分し1日100本を巡回作業します。5日目に最初のところに戻ります。落葉する10月末にはキズだらけとなりその役割を終え伐採され翌年その切株から孫生(ひこばえ)が出て10年経つと再び[うるし]が採れるまで成長します。
10年間育てた1本の木から採取できる[うるし]の量
はわずか約200ccです。とても貴重なものです。採取した樹液から水分とゴミを除去、精製して生漆(きうるし)と呼ぶ塗料になります。
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